桜on釜石・唐丹本郷プロジェクト2018

「この桜並木の前でさ、毎年家族みんなで写真撮るんだよ。四世代10人で住んでるんだけどさ」

桜のあるこの風景が大事だと語るおじさん。

年老いた桜がなんとか長生きできるように。地域を挙げての「面倒見」も今回が二回目です。かつては唐丹中に植えられていた85年前の桜も、残っているのはここ本郷地区のみだそうで。

「本郷の桜は、唐丹みんなの桜だから」

朝8時。手に手に思い思いの得物をもって、他の六つの地区からも人びとが集まってきます。その数およそ60名。地域の人、役場の人、オレンジに身を包み、重機とともに現れた森林組合のプロフェッショナルたち、そして地元出身の社長さんが切り盛りする二機の高所作業車。

地域の活動って、参加者の中には多かれ少なかれ「義務感」の割合が多い人がいるイメージがあったのですが、唐丹の人たちはなんだか楽しそう。いい年をしたおじさんたちが、開始前の集合場所で抱き合ってじゃれている。お互いの道具を見せ合ってつつきあう。笑い合う。

高所作業車が大きな枝をドスンと落とす。すると得物を手にした老若男女が一斉にとびかかってさばいて集積場所へ運び去る。次の枝が落ちてくるのを、今か今かと待ち構えている。猟師か??

ふと目を上げると6-7mはあろうかという太い枝先にひらりと登っていくおじさんがひとり。たまらずに、すごいですね、と傍らにいた長老に尋ねる。

「ああ、あん人は熊撃ちだから。こないだ熊もらって食ったけどうんめかったよ~」

すかさず後ろから別のおじさんが続ける。

「あれは、マタギだぁ。岩も登るし沢も下るよォ」

土地に生きる人たちがみんなで木を大切にしながら、地域で生きることを大事にしている。そんな人たちに出会えて、幸せでした。つくづく、風景は人があってのものだなと。

桜on釜石・唐丹本郷プロジェクト