同級生のサクラ

この春、息子が幼稚園の入園となる。早いものでじき4歳となり、ここ最近はどこで覚えたかいろんな言葉を話すようになった。

息子が生まれる二ヵ月前の2012年3月、人生で初めて桜の植樹をした。しかも場所は、宮城県石巻市にある牡鹿半島。思えば、あの時植樹した桜たちも今年で4歳となる。

自分と桜onプロジェクトとの出会いは4年前に遡る。
震災後、仕事の関係で一時的に石巻を訪れたことがあったが、再び訪れるという縁もなく8か月が過ぎようとした頃、桜onプロジェクトの代表である田中さんに出会った。

「20年後、子供と一緒に訪れて話をする桜を一緒に植えませんか?」

この言葉が自分には深く胸に響いた。今度生まれてくる子供といつか旅をしながら桜を見に来ることができたら、どんなに素晴らしいことか。

そしてこの植樹ツアーで出会ったのが、プロジェクトの吉田さんであり、田作さんである。

田作さんとは、共にツアー参加者で新幹線の席が隣り合ったという偶然の出会いからである。今思うと、この最初の植樹を皮切りに広がる桜前線かの如く、ヒト・コミュニケーションも広がって行った。花見の季節、単に成長した桜を訪れるだけでなく、植樹の時に関わりを持った地元の方々と再会することを期待し、その地を再び訪れた方がさらにワクワクする。まるで遠い親戚に会いに行くかのように。

いつか子供が自分と同じ年になったら、あの桜を訪ねて、地元の方々と桜の木の下で会話をする時が来るかもしれない。その時、桜は時代を超えて人と人を結ぶ「媒介桜」になるだろう。

今年は例年になく東北の桜が早く咲くらしい。

息子の入園式の頃、同い年の東北の桜たちも満開になっていることを期待したい。

羽永 太朗