あてもなく旅をしてたどり着いた村
2011年の秋に、あてもなく三陸の沿岸を旅しました。
北へ、北へ。
石巻から気仙沼、大槌、山田(泊)。夕方近く、ふと入り込んだ保育園の庭で近所の少年たちとサッカーしたり、飲みに行った出来たばかりの仮設プレハブ居酒屋で隣り合ったオヤジさんに
「あの、桜をですね…」
としゃべったら、
「バカかぁ!テレビもねぇラジオもねぇのになにがサクラだぁ!」とケンカになったり。
廃墟のような旅館跡地で眠って翌日に宮古を過ぎて田老。巨大な堤防が既にできて海と人とを隔てる風景を見ました。
北へ、北へ。
カーナビが「そろそろ青森よ〜」と言ったかどうかは記憶にありませんが、ぼちぼちここらで立ち止まろうかといったときに足を踏み入れたのが田野畑村でした。
ナビに映ったからと偶然入った郷土資料館の方に
「こんなところであなたたちは何してるの」
と聞かれたので
「いや、実は桜をですね…」
と話したところ
「あなたたちにぜひ会ってほしいひとがいます」
と、吉野の桜を愛する西の言葉を話す老婦人に引き合わせてもらったのでした。彼女がその昔、若かりし頃に遠路嫁いできた時に圧倒された「目にも眩しい山の緑」は我々が訪れた季節には紅葉で、次の春を待つことになるのですが。