会話に花を咲かせながら
春の陽気にも助けられ、「庭」はどんどん目に見えてカタチになっていきます。
午後になると、向かいの水産加工組合の工場から、従業員の人たちが出てきました。みなさん地元の方々ですが、「いったいなにをやってるの??」と不思議そうにのぞきにいらっしゃいます。
実は、午前中に組合のある男性がいらっしゃって。
「このあたりはトイレがなくて困るだろうから、組合のトイレを自由に使ってください。」
と申し出てくださっていたのです。
参加者のみなさんは、思い思いの休憩時間に、組合の建屋にそろりそろりと入っていきます。
「あれ~、どこのどなたでしょう」
「こんにちは。私、東京から来まして。向かいの三国さんのところで庭を、ね」
「はて、庭ですか。どれどれちょっと見に行ってみましょうか」
「ぜひ来て見てくださいね。みんなできれいに掃除をして、これから花と球根と、それから桜を植えますから」
「あぁ、それはいいですなぁ。私たちも仕事の合間にふと見に行きたくなりますなぁ。」
そんな会話があったかなかったか、定かではありませんが、組合の工場から一人、また一人と作業の手を休めて人々が「庭」に出てきます。
「あら~、ホントに桜が植わっているのね。こりゃあ酒を用意して花見の準備をしないとな」
「またまた気が早い。花が咲くのは何年か後ですよ~!」
「そうかそうか!それじゃ花が咲くのを見張っていて知らせてあげるよ!!」
少し前に、どこかの島で同じような光景がありました。