ワクワク地図

羽田空港を飛び立ち、遠くに富士山がハッキリと見える青空の中から街を眺めています。
「あの京葉線で千葉まで行ったな」とか、「あの首都高ルートを通ると空港まで遠回りなんだな」などと考えながらリアル地図を楽しんでいると、10分ほどで雪に覆われた富士山がすぐ近くまで迫って来ていることに気づきます。やがて富士山のすぐ上に差し掛かると、「カシャ」というケータイカメラのシャッター音があちこちで鳴り始めます。前の人も後ろの人も、もちろん僕も。通路側席の人はちょっと腰を浮かせて窓の方を伺っています。
青空の機内では必ず見られる光景がそこにありました。
そして、しばらく続く山の景色とその先に広がる街と海をまた眺めていると、先日ちょっとしたきっかけでお会いした方が言った言葉を思い出しました。和歌山県の加太というところで活魚料理を創っている若大将であり、その傍らで地域おこしにつながるプロジェクトを手掛けている方の言葉です。
「関西空港建設のために加太周辺の山から埋め立ての土砂を持っていったんですよね。その跡地に今桜を植えてるんですよ。そうするとね、ちょうど関空に着陸する前に機内の右側の窓からこの山にバーっと桜が咲いてるのが見えるんですよ。最高でしょ!」
この言葉を思い出しながら、今眼下に見えている山や街並みが桜色に彩られている風景を想像すると、さっきの富士山が見えた時以上のワクワク感が湧いてきました。そして、また若大将に会って語り合いたいなあと。ただ風景に感動するだけで終わらない、あの人の顔が浮かんでくる一歩先のワクワク感がそこにありました。
4年前にプロジェクトの代表はこう言いました。
「100年後、Googleの衛生で見たときに万里の長城か三陸の桜かと言われるくらいになっていくのではないかと考えている。」
あれから今日に至るまで、プロジェクトで関係したそれぞれの土地で「はなさかじいさん」たちがそれぞれの想いを持って桜を植えてきました。
この桜たちがその土地の風景を桜色に彩るのはいつ頃でしょうか。
その頃には、たくさんの人が風景を楽しむだけでなく、同時に誰からの顔を思い浮かべてワクワクしながら青空の中を飛んでいることでしょう。