白山神社

十八成浜の人々の心のよりどころ、白山神社。

震災の津波は、いまは再建された鮮やかな朱の鳥居をはるかに超えて、境内に立つ杉の巨木を半分以上洗い上げてようやく中腹で止まった。いまだところどころ崩れかけた部分がみえる石垣が当時の様子を伝えている。

小高い丘を登ると、ところどころに鹿の糞が散らばる。

「牡鹿は鹿の天下」

大谷川地区でも聞いた鹿の食害は牡鹿全体の問題であるという。

「かつては山犬がたくさんいたんだ。でも危ないからといって山犬を駆除してしまった。そうしたら、山犬に捕食されてきた鹿が急増してしまったんだな」

と浜の区長、及川さん。

「そんな鹿も、獣医に言わせると食べ物がまったくなくて『餓死寸前』だって話です。だから小さな苗木を植えたら絶好の餌になってしまう」

プロジェクトを十八成浜に引き合わせた奥田さんが続く。

地区の山側にあるお寺の和尚さんも、神社の再建のための催しに顔を出す。神仏が共に、暮らす人々の近くにある地域の様子を垣間見る。